前回まで、「マーケティングとは」ということで、「マーケティングとは?」「マーケティングの3C」、「マーケティングの4P」を学んできた。
今回からは、「マーケティングの3C」で述べた、消費者、顧客にフォーカスをあてて学んで行く。 今回はコンシュマーインサイトである。
マーケティングの基本は消費者を知ることだろう。以前は、消費とは必要を満たすためのものであると考えられていた。そのため、不況になれば、贅沢品の消費が押さえられ、生活必需品のみが売れると言われていたが、昨今、それは完全 な間違いであることがわかった。
いつから始まったのかさえわからなくなるほど長期不況の日本では、銀座や青山に高級ブランドの直営店が続々とオープンする一方、生活必需品は節約の対象となってジリジリ売上を下げている。人々は収入が減っても、「自分へのご褒美」 として高級ブランドを買うことはやめない。その一方、生活防衛として、日用品、食品等の生活必需品には無駄に目を光らせるようになり、買い替えを控えるよう になった。このような時代背景のもと、もはや付加価値を生まないものは終わりの無い値下げ競争に疲弊するだけの運命が待っている。
現在の消費者にとって、消費行動とは「自己実現の一部」なのである。言いか えれば、昨今の消費者を知るには、「消費行動=自己実現の一部」という視点での考え方が重要になってくるといえる。商品が抱える問題点をそのまま課題に設定し、解決を試みようとしても、残念 ながら、結果は上手くいかないだろう。そうではなく、商品の課題を、その背後 にある消費者の認識に読み替えることが重要である。
つまり以下の3STEPが必要である。
(1)消費者の行動や認識のなかに課題を発見する。
(2)その解決のために 商品が何を出来るのかを考える。
(3)それを基に消費者を動かすトリガー(ひ きがねという意味)
を発見する。この一連のプロセスを『コンシューマーインサ イト』という。
以下の図をご覧頂きたい。 まずは架空の商品「スポーツカーA」を例にして、コンシュマーインサイトのプロセスを紹介する。
まずは商品Aの問題点をそのまま課題に設定した例である。このように、商品の問題点をそのまま課題に設定するだけでは失敗することが多い。そこで、今度はコンシュマーインサイトによるアプローチを行う。まずは、商品の問題点を、その背後にある消費者の認識に置きかえる。そのために、以下のように考えるのだ。
これを消費者調査等により行うのである。その手法は別に問わない。消費者へのインタビュー、アンケートデータ、営業マンの声のフィードバック等々から、徹底的に考えて、文字どおり消費者をインサイト(洞察)するのである。例えば、その結、以下のような認識が導き出されたとしよう。
このように消費者が認識しているのに、いくらスペックが高いことを訴求したりしても売上が上向くわけなどないのである。まだ、プロモーションだけならいいが、莫大なリソースを投入して、マイナーチェンジによって製品の性能を向上したとしても、このような消費者の認識の前では莫大なリソースが泡と消えていくだけであろう。つまり、課題の解決策としては、この消費者の認識に沿ったものである必要がある。
商品が消費者のために何ができるのかを考え、消費者を動かすトリガーを発見する必要があるのだ。
例えば、レーシングカー並の動力性能があるとして、そんなものを日常的に一般の道路で使うことは現実的ではない。逆にそのような高度な動力性能のため、居住性はスポイルされている。また、スタイリッシュなデザインによって、乗員スペースやラゲッジスペースも非常に狭くなってしまっている。しかし、だからこそ、非日常を感じさせてくれる、純粋な趣味としての車の魅力があるといえるのではないか?
そう考えて、この車の消費者を動かす「トリガー」を「非日常の世界への誘い(いざない)」と設定する。 このような一連のプロセスをコンシュマーインサイトと呼ぶのである。
次週は、このコンシュマーインサイトのキーになるパーセプションについて学んで行く。お楽しみに。
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