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講師紹介


藤田憲一
(ふじたけんいち)

1970年生まれ。ダイレクトマーケティング広告会社、大手広告会社、シンクタンクを経て、現在(株)JMARCH取締役CEO(女性サイトとしては国内最大級の書込数を誇るコミュニティを運営)、(株)ニューズウォッチ情報事業部長(東芝、電通、三井 物産、凸版、ニューズエッジ、新規事業投資の6社のJV。ニュースクリッピング。国内2位の検索エンジンフレッシュアイの運営を行う。)、(株)NCI代表取締役社長 (テキストマイニングを用いた戦略コンサルティング事業を行う)に就任。
主要著書
驚くほどマーケティングが身につく本(中央経済)/よくわかるCRM(日刊工業新聞)/テレマティクス(日刊工業新聞)



【質問はこちらまで】
oldcolumn@bizdo.jp


■藤田憲一公式サイト■


 
■ 第9回
 消費者調査、マイニング〜消費者を知る手段〜1
『定量調査』
 
 

 前回まで、消費者(顧客)を知るアプローチについて、大枠を学んできた。今回からは、その具体的な手段として消費者を知る方法、手段について学んで いく。

 現在、世の中には、大手、零細を合わせると無数のリサーチ会社が存在する。 これらのリサーチ会社が増え始めたのはどういう経緯だろうか?分かりやすく 話すため、事実を多少、単純化することをご了承いただきたい。

 製造側の発想で製品開発することを「プロダクト・アウト」という。右肩上がりの時代、企業はいかに技術を進化させるかということに心血を注いで、製品開発を行った。なぜなら、技術の進化が=(イコール)消費者にとって「ベ ネフィット(便益)」であり、企業は自社の技術の粋を集めた商品を開発して いれば、「最もよい商品」を作ることができると考えていたし、消費者サイド もその発想を受け入れていると考えたからだ。

 しかし、実際はどうだろう? 消費者は「故障した。不良品だった」という問題は例外として、そこまでは行 かなくても、

・使いにくかった。
・性能が悪かった。
・思ったものと違っていた。
・自分達が欲しい商品を企業は作ってくれない
・商品以外のサービスで不愉快な思いをした。

等々、様々な不満を抱えていたはずだ。そして、経済が成熟化に向かい、成長の 急上昇カーブが鈍化するに連れ、企業はようやくこの考え方に疑問を持つように なった。

 右肩上がりの時代は需要が供給を上回っていたので商品は売れた。しかし、供 給が需要を上回り、モノ余りの時代になると、企業は消費者に向き合わなければ モノが売れなくなるだろうという危機感がようやく芽生えてきたのだ。そこで企 業が消費者を知る手段としてリサーチ会社をこぞって利用するようになったこと が冒頭で尋ねたリサーチ会社の増加に行き着くのである。

 右肩上がりの時代、企業は、高い技術力=良い商品=消費者の満足度と考えていた。しかし、 モノ余りの時代になってはじめて、企業は消費者と向き合わなければモノが売れなくなるだろうという危機感が芽生えてきた。前者を、製造側の発想で製品開発する「プロダクト・アウト」そして後者が消費者サイドに立って製品開発を行う発想「マーケット・イン」という。

 今回は、このような時代背景から台頭してきた消費者調査のうちの定量調査について説明する。 先ほど「マーケット・イン」とは、「プロダクト・アウト」とは対照的に製造側でなく、消費者サイドに立って製品開発を行うという発想であると述べた。 そして、この「マーケット・イン」という発想により、消費者調査が盛んになってきたと言える。


【プロダクト・アウト時代の考え方】

 では、消費者調査にはどのようなものがあるのだろうか? 消費者調査には、定量調査と定性調査の2つがある。定量調査は簡単にいえば数値で把握できる調査である。主に選択式等、アウトプットが数値で把握できる調査である。そのため判断もしやすく、データ処理にも適している。

 一方、定性調査は、言語ベースの調査である。つまり、消費者の生の声や本音を聞き出すことが目的である。仮設を見つけにくいテーマや、単純に商品Aがいいか?悪いかの多数決を聞く定量調査では把握できない、その理由、どこが悪い?どうすれば良くなる?といったテーマの掘り下げが可能である。

 今回は、まず定量調査の方を学んでいく。 定量調査の手法としては以下のようなものがある。

(1)訪問調査
 メリットは高い回収率。デメリットは高コストであること。 在宅率低下や、ホームセキュリティー(マンションのオートロック等)により、調査は難しくなっている。
(2) 郵送調査
 メリットは低コストなこと(但し、ネット調査誕生後はそのメリットを失ったか?) デメリットは回収率が低く、かつ、予想しにくいこと。(実施企業の知名度により回収率が大きく変動=予算設定が困難)。
(3) 電話調査
 メリットは即効性。また、地域が広くても効率的に調査が可能。デメリットは、質問のボリュームが限られること。
(4) パネル調査
  同じ対象者に、一定期間、同一の調査を反復して行うことで、市場の変化を把握する方法。他の手法が、ある一定時点の市場や商品の状態を把握するものであるのに対し、パネル調査は、一定期間での商品トレンドや消費行動を把握するものである。 難点は経費が膨大かつ長期間(=途中脱落,変化の危険)であることと、対象者のセグメントの正確性を担保しづらいことがあげられる。

【定量調査、各手法のメリット、デメリット】

メリット
デメリット
(1)訪問調査 高い回収率 高コスト。在宅率低下、オートロック普及で実施が困難。
(2)郵送調査 低コスト(ネットほどではない。) 回収率が低く、その予測が困難
(3)電話調査 即効性。地域が広くても、対応が容易 質問量が限られる
(4)パネル調査 CM、商品等を提示しての調査が可能 高コスト

 定量調査の実施に関しては、量の多い場合、事前に見通しを立てる場合、サンプリング(サンプル抽出)を行うことがある。

 サンプルの信頼度はサンプル(標本=調査対象数)数に比例するが、数少ないサンプルでも有意(意味のある)な結果を出すためにバイアスがかからないよう注意し、母集団を代表するものにする必要がある。方法は「無作為にサンプルを抽出」「予め属性の構成割合を母集団と同じにグルーピングしランダム抽出」「段階的にサンプリングを行う」等の方法がある。

 さて、上の定量調査の表を見て、多少なりとも勘所のある人は「ネット調査はどうしたの?」と思ったことだろう。 定量調査に限らず、定性調査でも、ネット調査の位置付けは飛躍的に上がってきている。ネット調査に関しては定性調査の後で触れる。

 来週は、定性調査、そして、今、お話したネット調査に関して学ぶ。お楽しみに。

 

 



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