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講師紹介


藤田憲一
(ふじたけんいち)

1970年生まれ。ダイレクトマーケティング広告会社、大手広告会社、シンクタンクを経て、現在(株)JMARCH取締役CEO(女性サイトとしては国内最大級の書込数を誇るコミュニティを運営)、(株)ニューズウォッチ情報事業部長(東芝、電通、三井 物産、凸版、ニューズエッジ、新規事業投資の6社のJV。ニュースクリッピング。国内2位の検索エンジンフレッシュアイの運営を行う。)、(株)NCI代表取締役社長 (テキストマイニングを用いた戦略コンサルティング事業を行う)に就任。
主要著書
驚くほどマーケティングが身につく本(中央経済)/よくわかるCRM(日刊工業新聞)/テレマティクス(日刊工業新聞)



【質問はこちらまで】
oldcolumn@bizdo.jp


■藤田憲一公式サイト■


 
■ 第23回
 ブランド その4  
 

 先週、ブランド経験は企業全体で統一されていなければならない旨をお話した。広告、販売、サポートで「バラバラの対応」というのが、残念ながら多くの企業の現状であるが、それではブランドマネッジメントが適切になされているとはいえない。ブランドマネッジメントで大切なことはブランド経験が企業全体で統一されていることなのである。…で、 今週は「ブランド経験とは顧客ごとに異なるものでなければならない」というお話をする。

 「ブランド経験は企業全体で統一されていなければならない」と言ったり、「顧客ごとに異なるものでなければいけない」と言ったり、一体どっちなんだ?とお思いの方も多いだろう。今週は、この両者が矛盾しないことをご説明する。

 2、3年前、自動車ディーラーで「ノンプレッシャー」、「ワンプライス」という施策が流行した。(「日産のカレスト」「GMのサターン」を思い出していただきたい。)これは押しつけがましい接客をやめて、値引き済みの価格表示で不透明な値段交渉を排すというコンセプトである。巷のビジネス誌や多くのコンサルタントはこれを素晴らしいともてはやしたが、私は懐疑的な目を向けていた。寄稿やインタビューでも「これが主流にはなりえないと思う」と述べて、顰蹙(ひんしゅく)を買っていたが、現在では、私の異論が証明されている。

 では、なぜ、私はこれが主流にならないと考えたか?それは、この施策が方手落ちだからである。この施策は先週、お話した「ブランド経験を企業全体で統一する」という面では素晴らしい施策である。「ある店はあっさりした接客なのに、別の店ではしつこい接客をする。」とか、「ある店は値引きには一切応じないのに、別の店はノルマが厳しいのか、ダンピング的な値引きをしている」といった、ブランド経験の齟齬が無い。しかし、それだけでは「ブランドマネッジメント」の視点からは不完全である。なぜなら、そこには「顧客ごとに異なる」という視点が欠落しているからである。

 例えば、私の父は日産車にしか乗らない。 もう何台も日産ばかりを買い換えている。一方、私はいろいろな車に乗りたい主義で、メーカーはころころ代わっている。この2人に対し、ディーラーが同じ値段を提示するのは「平等」といえるかもしれないが、「公平」とは言えない。顧客サイドにとって、ロイヤリティを正当に評価できないのでは、最適なブランド経験とは言えないだろう。もし、このワンプライスを徹底するのであれば、顧客の取引履歴をスコア化し、そのスコアにより価格に反映させるといったことも必要になるだろう。

ブランド経験は企業全体で統一されていなければならない
というだけでは不足!!
さらに…

顧客個々のロイヤリティにあわせた
「ブランド経験の統一」でなければ意味は無い。


 ブランドイメージというのは、顧客によって捉え方は様々である。なぜなら、顧客はブランドイメージを自分のブランド経験によって加工するのである。つまり、ロイヤリティが強ければ強いほど、顧客はブランドに期待するものも大きくなるし、逆に、ロイヤリティの強くないブランドに「熱烈対応」や、「個人情報満載」のプロモーションをされても、好きでない異性にアプローチされた時のような鬱陶しい気持ちになるだけなのである。


企業の提供するブランドイメージを
顧客は各々のブランド経験に加工する

ロイヤリティー強い=期待大きい
ロイヤリティー弱い=過剰対応は負担


 ひところ、ストーカーという言葉が流行したが、ブランド経験においてストーカーにならないように、また、ほったらかしで離婚にいたる夫婦のようにならないように「ロイヤリティに応じたブランド経験」のデザインを心掛けていただきたい。

 

 



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