ちょうど3年ほど前、ようやくCRMの認知度が上がりつつあった頃、関係者の間で話題になった出来事があった。三石玲子氏というサイト批評の第一人者のことは読者でもご存じの方は多いだろう。彼女が自身のサイトでトヨタのサイトを5段階評価で充実度2点、影響度1点という辛口の採点を行ったのだ。ちなみに同様の採点で、アスクルは充実度5点、影響度2点という高評価だった。
論評は正確には覚えてないが、「個人的見解であるが、車・メディア部門はまあいいとして、あのショッピング部門は実に疑問。なぜ、トヨタが米や味噌を売る必要があるかわからない。さらに疑問なのは大企業の部長クラスはこぞって、米や味噌を売ることを“すごい”と絶賛していることだ。」という旨の内容であった記憶がある。米や味噌というオプションが果たして正しいか否かは別として、本講座でCRMを学んできた皆さんは「なぜ大企業の部長連中がそれをすごいといっているか?」の理由はわかるだろう。
つまり、トヨタは米や味噌の売上をプロフィットの1部として期待していたのでは無く、顧客とのコンタクトの機会だとか、顧客のサイコグラフィック・データの入手を期待していたことを想像するのは容易なはずである。
ここでサイコグラフィックのデータの話が出た。いい機会なので、本講座の1月24日分で扱ったサイコグラフィックに関して復習してみよう。サイコグラフィックの対極がデモグラフィック、つまり属性分類である。
属性分類は以下のように分けられる。
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【図-1 デモグラフィックス分類の例】
・性 別…男/女
・未既婚…未婚/既婚
・年 齢…〜18才/〜22才/〜29才/〜39才/〜49才/〜59才/60才以上
・職 業…学生/上場企業会社員/非上場企業会社員/会社員・管理職/
会社役員・経営/医師/弁護士/公認会計士/
自営業/専業主婦/兼業主婦/無職
・学 歴…中卒/高卒/専門卒/短大卒/大卒/MBA他
・年 収…〜200万/〜300万/〜400万/〜500万/〜600万/
〜700万/〜800万/〜900万/〜1000万/
〜1100万/〜1200万/〜1300万
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80年代までは自動車はセダンを中心にクラスにより車種が分かれていた。「いつかはクラウン」という名コピーがあるが、例えば、トヨタであれば、カローラからスタートして、マークII3兄弟(マークII、チェイサー、クレスタ)、クラウンという具合に、年功序列による出世に合わせて車を買い換えていた。つまりは、属性によるターゲティングがマーケティングの正攻法であったわけだ。
しかし、最近、属性によるターゲティングが機能しなくなったといわれる。フリーターの多くがロレックスを購入する等、クラスで消費行動が測れなくなっているのだ。特に、RV車、とりわけミニバンのヒットは自動車会社を潤わすと同時に惑わせている。なぜなら、ミニバン購入者の中にはこれまでカローラを買っていたクラスからクラウンを買っていたクラスまで混ざっているからだ。
そこで、自動車会社に限らないが、各社はサイコグラフィックに注目をシフトしてきている。
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【図-2 サイコグラフィックスとデモグラフィックスを融合し、ターゲットイメージを設定した例】
ex.)ベイエリアタワーマンションタイプ別ターゲット設定例
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商品
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高層階広々リビング
(2LDK7000万)
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低層階平均間取り
(3LDK.4000万)
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ターゲット
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30代前半リッチ系DINKS |
30代前半リッチ系
ヤングファミリー |
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住まい
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都心1LDK (賃貸) |
横浜市2LDK(社宅) |
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会社
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夫:IT系企業マネージャー
妻:外資系メーカー |
夫:大手メーカー
妻:専業主婦
子供:幼児 |
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年収
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16000〜2000万円 |
700〜900万円(世帯収入) |
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所有車
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欧州車クーペタイプ |
国産レジャービークル |
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衣服
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ポール・スミス、
ユナイテッドアローズ |
夫:ユニクロ
妻:国内ブランド品 |
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旅行
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欧州 |
ハワイ |
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趣味
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グルメ、ネットサーフィン |
ゴルフ、スキー |
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音楽
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キサナ・ドゥー系ダンスミュージック |
夫:J‐POP
妻:マライアキャリー |
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TV番組
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BSスポーツCH(大リーグ等) |
朝の番組、
ニュースステーション |
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雑誌
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ニューズウイーク、パソコン誌 |
アエラ、日経トレンディー |
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映画
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単館系ヨーロッパ映画 |
洋画話題作 |
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週末
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夜は都心で外食・カフェ、昼間は彼女とドライブ |
車で買物 |
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アフター
ファイブ
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残業、金曜のみ大人系クラブ |
創作和食系居酒屋 |
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これらのサイコグラフィックデータは、これまで消費者調査でとっていた。しかし、それらにはバイアスがかかることがマーケティング担当者の悩みであった。昨今、マイニング等、分析技術が進化し、顧客の購買データから多くの重要な知見が得られるようになった。
つまり、米や味噌の話は別にして、「スキーやアウトドアの商品を買っている人間はこういうRV車を好む」とか、「映画やファッションが好きな人間はうちの車を買わないのだな」といったことが、自社の通販サイトから取れるのではないか?と自動車メーカーが考えたことは容易に想像できるだろう。通販サイトであれば、間口やコンタクト頻度は限られるが、テレマティクスであれば、多くのユーザーとコンタクトでき、且つ、その頻度もユーザーが車に乗る度と格段に増やすことができる。
つまり、テレマティクスによって、より顧客のことを知りたい。 それが自動車会社のこのビジネスに取り組む狙いなのである。
さて、来週はテレマティクスの最終回。
テレマティクスのマーケティングデータの取り込みに関してお話しする。
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