さて、先週の終わりに、昨今、消費者の欲求が高度化し、顧客に対する知識やそれに対応するための知恵が高いレベルで求められるようになり、企業は自社のヒット商品の予測にさえ、自信を失っていると述べた。
では、「消費者の欲求が高度化する。」というのはどういう状態であろう。これは多くの企業が誤解をしがちなのだが、それは、決して、消費者が商品に対して高い知識を持って消費の意思決定をする状態ではない。
よく勘違いした企業が、マニアックな声を収集して、「イノベーターの声が云々…」などということをいうが、全くの誤りである。欲求の高度化というのは、一見、欲求が低度化しているかのように見えるのだ。1例を見てみよう。
例えば、今のような成熟消費社会で無い頃は、「どうしてこの商品を購入したのですか?」という企業の問いに対し、
- 品が良いから。
- 安いから。
- ランニングコストがかからないから、壊れにくいから
- 他の競合製品に比べて優れている
等々、論理的に処理できる答えが多かった。…で、今はどうか? 「ただ何となく」 実はこういう曖昧な返答が多いはずである。欲求が高度で無い時代の方が、「その消費がなぜ必要?」という問いに明確に返答が出来たのである。
例えば、あなたがトイレットペーパーを買うのは必要だからであり、粗悪品より良いものを買うのは「それが優れているから」である。しかし、桃の香りがする通常のものより1.5倍の値段がするトイレットペーパーを買うのは、理由が無いことが多いだろう。
つまり、企業にとってはもちろん、顧客自身も自分の気持ちを上手く表現できる言葉を探すのが大変なのである。そこで、コミュニティに訪れる消費者は、他の消費者が語る言葉に共感すれば、「うんうん。そうそう。」といって、共感を示したり、それを参考に新たな意見を述べたりするのである。つまり、これまでの顧客ニーズのように、工夫次第で何とか聞きだせる形式知でなく、顧客間の潜在意識に隠れている暗黙知を聞きだすには、このようにネット・コミュニティを活用することが有効であることがわかるだろう。
観察が比較的容易なあるいは工夫すれば何とか聞きだせる形式知でなく、顧客間の潜在的な暗黙知、相互作用しながら時間の経過とともに変容していくといった集合的な知の進化という問題に対して有効なマーケティングリサーチの手法は現時点で見つかっていない。観察が比較的容易なあるいは工夫すれば何とか聞きだせる形式知でなく、顧客間の潜在的な暗黙知、相互作用しながら時間の経過とともに変容していくといった集合的な知の進化という問題に対して有効なマーケティングリサーチの手法は現時点で見つかっていない。また、最近の消費者の傾向として「飽きが早い」、つまり流行り廃(すた)りのサイクルが早いという問題がある。
このように、時間の経過とともに変容していくようなニーズを捉えるのは、顧客同士の継続的な対話の場、つまりネット・コミュニティがとても有効なのである。
では、「顧客を識(し)る」だけでなく、「情報伝達」の部分ではどう機能するか?これを考えるには、コミュニティで無視できない大きな要素、「クチコミ効果」という部分を考える必要がある。 実はコミュニティには、大規模になればなるほど、積極的な参加者以上に、ROM(リード・オンリー・メンバー)と言われる閲覧専門のユーザーの方が圧倒的に多くなる。つまり、彼らの消費行動に対して、コミュニティは強く影響するのである。
では、なぜ、最近の消費者は、ネット・コミュニティ等の他人の声に耳を傾けるのだろうか?それは、消費が高度化し、「なんとなく」という曖昧な判断基準で消費を行わなければならなくなったことに端を発する。彼らは自分自身で判断することを避け、経験者の意見に追随することで、自ら判断するリスクを避けようとするようになったのである。感性商品であるため知覚リスクの高い化粧品を対象とする「@コスメ」、同様に高価であるため知覚リスクの高い家電製品を対象とする「価格コム」等が人気のクチコミサイトとなっていることを見てもそれは証明されるであろう。
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