2.どうしてなくならないの?
最近、景気回復のために銀行に公的資金を注入して、不良債権を処理するべきだとの論争が巻き起こっています。けれど、不良債権というものはいつの時代でもあったはず。公的資金を注入して不良債権を処理したとしても、景気がある程度よくならない限り、要注意先企業の収益が悪化して破綻懸念先に格下げになってしまうといった具合に、再び不良債権が増えてしまう懸念があります。つまりイタチごっこ。そう考えると、「一時的に公的資金を注入するのは金融機関の延命には効果があるだろうが、景気の回復にはどの程度効果があるのか?」という疑問が湧いてきます。
この疑問を解くカギは、不良債権と十把一絡(じゅっぱひとからげ)に言っても、その内容はバブル崩壊直後と現在ではだいぶ違うという事実です。
「銀行経営者は会計粉飾や背任をして不良債権額をゴマカシ続けてきた。そのツケが今やってきている。けしからん」とはTVでよく耳にする弁。けれど冷静に考えてみれば、バブル崩壊から今まで大手銀行が処理した不良債権は既に100兆円あります。昔の不良債権、すなわち大口問題先と呼ばれていたものは全て処理しています。決して不良債権処理をやっていなかったわけではありません。ただし銀行がやってきた不良債権処理は、バブル処理でありゼネコン処理です。これまでの計2回の公的資金注入は主としてこれらの処理に使われました。
当時は、そこで一応終わったとみんな思っていました。ちょっと足りないかなとは思っているけれど、でも何とかなるでしょうと銀行も政府も役所もみんな思っていました。事実メディアもそういう論調でした。今にして振り返ってみれば、バブル崩壊後から1998年くらいまでの日本のコンセンサスは、景気の悪さを単純にバブル崩壊のせいだと思っていたところがあります。だから2度の処理で何とかなるだろうと思ってしまったわけです。不良債権残高の査定にしても今は確かに悪いけれどまた何とかなるさとの思いのもとにやっていました。銀行の名誉のために言っておきますが、別に嘘でもなく、隠していたわけでもないのです。敢えていうならば見通しが甘かったのです。99年にゼネコン処理をやった当時、こんなに一般のメーカーや流通の会社がここまで傷んでくるなんて思っていなかったのが銀行や当局の本音です。日本経済の構造に変化が起こっていることに気付けなかったのです。
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