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講師紹介


渋井真帆
(しぶいまほ)

1971年生まれのB型。茨城県出身。現在、金銭教育コーディネーターとして間接・直接両金融分野の実務経験を活かし、講演・セミナーや雑誌等への執筆を中心に消費者へのマネー・リテラシーを啓蒙中。また20代〜40代女性を対象に金銭・投資教育、キャリアアップ支援のためのマネースクール「女のたしなみマネー塾」の主宰も務める。現在夫と2人暮らし。趣味はダイビング、ゴルフ、女性の歴史本購読。






 
■ 第5回
 不良債権問題の本質  
 


2.間接金融と直接金融

 ここで間接金融と直接金融の違いについて軽く触れたいと思います。まず間接金融。これは、銀行を介在させて資金の貸し手が借り手(企業や政府)に資金を流すことをいいます。例えば、「預金者が銀行に預金を預け、集まった資金を銀行が企業に貸し付ける」のは間接金融です。また、資金の貸し手が直接借り手(企業・政府)に金融を行い、借り手の発行する証券を受け取る方式を直接金融といいます。例えば、「投資家が企業の発行する社債や株式などを購入して企業に資金を流す」のが直接金融に該当します。

 ちなみに、英米では直接金融の比重が高く、日独は間接金融が優位といわれています。(日本は高度成長達成後、直接金融の比重が次第に大きくなっているとも言われていますが、そうはいっても相変わらず間接金融主流です)

 ところで、なぜ間接金融が主流の日本では債務超過企業をなかなか退場させられないのでしょうか?それは、間接金融の場合、企業の破綻によるリスクが銀行に集中するからです。貸出先が破綻した場合、貸したお金はとりっぱぐれる、つまり損失が生じることになります。そういう時のために銀行は貸倒引当金を積んでいますが、貸出額全てに引当を積んでいるわけではありません。けれど貸出先が破綻したからといって銀行が預かった資金を預金者に返す義務を免れることはできません。
(引当金が?と思ったあなた。かなり大雑把な説明ですが、要はとりっぱぐれに備えて利益の一部を積み立てておくことです。積み立てる利益がない場合は自己資本を取崩すことになるので、自己資本比率4%以上死守の銀行にとっては頭痛の種です)

  一方、直接金融の場合企業の破綻によるリスクは広く分散されます。個々の投資家にとっては痛い話ですが、集中はしません。

3.経済のへモグロビン―銀行の資金仲介機能―

 こうした理由から、銀行は債務超過かつ不採算企業を退場させることができません。それどころか、追い貸しや債権放棄をして生き延びさせようとさえしてしまいます。その一方で、自己資本比率の制約がある銀行としては、新たなリスクを負えない、つまり新たに資金を企業へ貸しづらくなるという事態が起きています。つまり経済にとってヘモグロビンともいえる銀行の資金仲介機能が機能不全を起こしているわけです。

 細胞の隅々まで新鮮な酸素を運ぶヘモグロビンが機能不全を起こしてしまったら、体の四肢は腐ってしまいます。不良債権の処理イコール景気浮揚では決してありません。けれど銀行の資金仲介機能の低下とは、日本経済の四肢をゆっくりでも確実に腐らせてしまうのです。そんな不健康な体ではカンフル注射(景気浮揚策)をいくら打っても元気に走りまわることができないのは言うまでもありません。

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