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講師紹介


大木ヒロシ(おおきひろし)

ジャイロ流通研究所・所長。「商業界」「ファッション販売」などで執筆多数。現場取材を中心にした講演は具体性が高く、実効性が高い。講演回数は年間150回を超える超人気コンサルタント。大手企業から中小商店までの数多い成功事例を持つ。日本商業コンサルタント協会専務理事。

【質問はこちらまで】
monday@bizdo.jp


 
 ■第8回
 『自分名刺を持っていますか!超・営業名刺活用法』
 
 

(3/3)

3.儲かる習慣その1「 Aさんの場合」

 Aさんは営業マン暦3年。ここ2年の営業成績の伸びは素晴らしく、30代の前半ながら今年中には営業課長への昇進がほぼ決定している。しかし、営業職に転じた最初の1年間は大変な思いした、と言う。
元来は営業畑でなかったAさんはどちらかと言えば人と話すのは苦手。生産現場で黙々と仕事をするタイプであり、彼の現場での仕事ぶりは丁寧。誠実な人柄どおりで、信頼は厚かった。しかし、会社の業務変更に伴い営業に転じざるを得なくなったのである。

 営業部では辣腕セールスでなる営業課長のもとで営業テクニックを磨くことになり、課長と同行する日々がスタートした。

 弁舌巧みに相手に有無も言わせず押しまくり、売りまくる課長の営業ぶりには目を見張るばかり、「さて、そろそろ、お前もやってみろと」と言われて、単独で営業訪問を始めたが、どうにも成績は上がらない。半年も過ぎるのに成約はゼロ。

 やがて、酒で憂さ晴らしが毎日のこととなる。「何で営業になんか」というグチを肴のヤケ酒で一時は忘れるものの酔いが覚めれば、自信喪失と自己嫌悪にさいなまれる。そして、自己嫌悪と自信喪失のままでの営業訪問が始まる。これで営業が成功するはずもなく、どうにも「儲からない習慣」に染まり始めていた。

 嫌なことは忘れろと言うが、忘れられないから嫌なことなのだ。要するに、嫌なことは克服する以外に逃れるすべはない。しかし、大半の人は克服する工夫もせず、嫌なことを抱え続けている。これじゃ最後まで浮かばれない。

 Aさんは、このままでは会社を辞めるしかない。しかし、家庭を考えれば辞めることはできない。何とかしなければと思った時だ。結局、辣腕セールスの課長の真似をしても無駄なことに気づいた。人には得手と不得手がある。不得手を頑張ってもたかが知れている。大事なことは自分の得手を見つけることだ。
※習慣化のポイントは自分の「得手」「不得手」を明確にして「得手」から始めること

 Aさんは無理せず、2つのことだけ持続・徹底することにした。要するに、習慣化のスタートである。
先ず1つ。しゃべりが苦手のAさんは「挨拶で良い印象をつける」ことに決め、どんな時にもそれだけは守ることにした。そのために、訪問先で相手に会う前にトイレに入り、笑顔をつくるようにした。笑顔になれば声は大きくなるし、挨拶にハリがでる。
※習慣化のポイントは具体的な動作化すること

 もう1つは訪問先で訪ねる相手はもちろん出会う全ての人に名刺を配り、できるだけ相手の名刺を貰うこと。そして、名刺を貰った相手には3日後1週間以内にハガキを書き、その後も毎月1通のハカキを1年間出しつづけることを習慣化することにした。
初めて会った人からハガキが届く。それも毎月となると、どんな人でも記憶に残る。信用は会った回数に比例するとも言う。

 口下手のAさんは名刺とハカギに自らを語らしめたのだ。もちろん、その名刺とハガキには彼のパーソナリティそのものの似顔絵が刷り込まれている。

 土日で100枚を超えるハガキを書くこともあった。文面は気にしないことにした。何より出すことが肝心だ。下手な鉄砲撃ちは数しかないとも思った。

 名刺を配る、名刺を貰う。分類し名簿化する。そしてハガキを出す。文面は分類に合わせての3通り。相手に対してメリットになり得る自分の得意分野を中心に書き込む。考えることは無い。習慣的に出すだけだ。

 新たな習慣化に取り組み始めてから3ヶ月も過ぎたある日、最初の訪問では全く相手にされなかった訪問先で、担当者から声をかけてきた。相手はまるで旧知のように「おー、どうも。ところで、Aさん、あなた現場のこと詳しいんだって。実はねー、ウチの工場のラインなんだけど、どうも計画通りに動かない。悪いけど、ちょっと見てくれないか」Aさんは「ハイ」と答えた。

 話しかけるのは苦手でも、自らの得意分野について問われれば、答えることはさして難しくはない。むしろ、大半の人にとっては楽しいことの部類になる。

 Aさんは工場に案内され、相手の説明を聞くと、ラインの問題点がすぐ分かった。彼は持ち前の丁寧さと誠実さでひとつひとつ指摘し改善策について話した。

 聞いていた相手の担当者は「なる程、そうか。ところでAさん、悪いけど、再設計と必要備品の見積りを出してよ。君なら大丈夫だと思うから、オタクに頼むよ」と言った。
Aさんは「ハイ」と答えた。

  Aさんは殆どしゃべらなかった。問われれば答える。後は「ハイ」と元気に答えるだけ。それで、あの辣腕課長が落せなかった大型営業を成功させた。

 これは彼のような口下手だが誠実な感じを与えるキャラクターにとっては実に有効なやり方だ。そして得意なやり方が通用するように習慣的に働きかけを行い、自らに向いた形に営業環境を整備したのである

 そして、挫折の1年間から立ち直り、見事に栄光を獲得した。
 
ここで使われた超・営業名刺については http://www.jairo.tv/ をご参照下さい

 

 

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