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1.交渉相手に対する事前の個人的情報が事態を打開する!
広告代理店の営業マンであるCさんは春だというのに憂鬱な気分だ。花粉症だからという訳では無い。実は、この春から、気難しいことで有名なA社のB課長を担当することになったのだ。
先日、担当の交代の挨拶に出向いた時もジロリと一瞥をくれただけで押し黙っている。ウンでもスンでもない。話しの糸口をつかむことさえもできず、ほうほうの態で逃げ帰ったようなあり様だった。
前任者に聞いても「確かに、B課長は難しい人だよな」と言うだけで、これといった対処方法のヒントすら見つからない。前任者にしてもB課長を新企画でおとせなかったことが原因でCさんと交代になったのであり、降格の噂もささやかれている。
このままでは、今夏の広告企画提案を通すことは難しい。場合によっては競合他社に乗り換えられる恐れさえある。新担当で大口顧客を失ったら自分の責任だ。下手をすれば降格の可能性さえある。Cさんは頭を抱えた。
とにかくB課長に話しを聞いてもらえるようにするのが先決だ。それには、彼の興味関心を知り、そこから話しを進める以外に手は無い。
Cさんは改めて、B課長の個人的な情報を集めてみることにした、ひょっとするとそこから何か話しの糸口か見つかるかもしれない。
B課長はW大学の卒業だと聞いている。彼の年なら卒業は○○年頃だ。自社内にもW大学の卒業者はいる。B課長と同年代の先輩社員に尋ねてみたが「そんな奴いたかなー」とか「知らないねー」といった返事ばかりでラチがあかない。
困り果てたCさんだったが、「そうだ、叔父が確かW大学だった」と気づいて、早速、連絡をとって見た。すると、叔父は「そういえば、そんな奴いたなー。卒業名簿で調べて、今日の夜にでも連絡してやるよ」と言ってくれた。
その日の夜に叔父から電話があり、早速、叔父の家まで出向いて話しを聞いた。
聞くところでは、B課長は野球部に在籍しており、熱烈な中日ファンで、お子さんはリトルリーグで活躍しているらしいといったことが分かった。ひょっとしたらチチローを目指しているのかも知れない。あの、B課長が真剣な面持ちで我が子とキャツチボールをしているところを想像すると何となくほほえましい気もする。
こう思ってみると、今までとりつくしまもなかったB課長が身近に感じてくる。営業はこうなればしめたもので、相手を身近に感じることで話しに固さがとれ、切り出しもスムーズにいく。
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